
モルタルの外壁を導入する際に知っておくべき全知識 | メリット・デメリットからメンテナンスまで

家の外壁の種類はたくさんありますよね。
そのなかでもモルタルは昔から日本国内で選ばれている素材で、ほかの素材が主流になってはいるものの、まだまだ根強い人気があります。
そこで
- モルタルの外壁のメリット、デメリット
- モルタル材の価格
- モルタルの外壁の仕上げ方法
- モルタルの外壁の補修について
- モルタルの外壁の耐久年数
などについて詳しく説明していきます。
大切な我が家を守ってくれる外壁の素材です。
しっかりと検討したうえでモルタルを選ぶ材料にしていただけたら幸いです。
まずはモルタルとはどのような外壁材なのかを確認しましょう。
モルタルとはどのような外壁材なのか
モルタルとは、セメントと砂を1:2(変動することがあります)の割合で混ぜ、そこに水を練り合わせたものを言います。
よく間違われやすい「コンクリート」とは、セメントと砂と、更に砂利を入れて水で練ったものです。
モルタルは1980年代以前に多くの戸建てで使用され、主流となっていました。
現在ではあまり見られなくなっていますが、職人の手によって直接外壁に塗られていくため、あたたかみや味わいのある仕上がりになるので現在でも根強い人気があります。
外壁材にモルタルを使用するメリットとデメリット
ではモルタルを外壁に使用することによってどのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。
デメリットに挙げられることも、上手な付き合い方をしていけば大きな問題にはなりません。
詳しく見ていきましょう。
モルタル外壁のメリット
では外壁際にモルタルを使用するとどんなメリットが生まれるのでしょう。
つなぎ目がないため、どんな形状にも対応できる
モルタルを外壁に直接塗っていくので、つなぎ目がない外壁に仕上げることができます。
現在の外壁で主流のサイディング素材などはパネルを貼っていくため、どうしてもつなぎ目ができてしまい、そのつなぎ目のメンテナンスが不可欠になります。
モルタルにはその必要がありません。
また、職人がモルタルを塗るのでどんな形状の家にも対応できますし、コテやハケなどで模様をつけることもできたりと、とても自由度が高いのです。
モルタルならではの味わいと質感がある
下記にも詳しく述べますが、モルタルの外壁の仕上げ方には4種類があります。
ハケやコケを使って実際に職人が塗っていきますので、大量生産されたパネルを張っていくサイディングなどとは違う、味が出ます。
また表面も凹凸があったりざらざらしていたりと、質感でもあたたかさを感じられるでしょう。
災害にも負けない頑丈さ
モルタルの外壁は厚みがあり重みがあるので、地震にも強いです。
強い地震ほど、ひび割れは起こってしまう確率が高くなってしまいますが家自体が強いつくりになるので、揺れに強いと言えます。
台風などの強風にはモルタルはとても強く、壊れることはほとんどないでしょう。
モルタルの重さに加え金網の強さもあるので、強いのです。
台風で物が飛んできた場合にもモルタルの外壁であれば被害は少なく済むでしょう。
仕上げのバリエーションが豊富
モルタルの外壁の仕上げ方法は、下記で詳しく挙げますが、大きく4種類あります。
そのことからも分かるように、職人がハケで模様を描いたりローラーを押したりできるので、仕上げのバリエーションが豊富です。
サイディングなどのパネルを張るような外壁にはない仕上がりになります。
防音性が高い
木造に比べて壁自体が何層にも重なり厚いので、モルタルの外壁にすると防音性が高くなります。
生活をしていくうえでとても重要な点ですね。
モルタル外壁のデメリット
では次にデメリットを見ていきます。
どんな外壁材でもデメリットは付きものです。
デメリットをしっかり把握して、付き合っていきましょう。
雨水による汚れが目立つ
雨水による汚れは、窓や開口部にたまってしまった汚れが、雨によって流れて壁に汚れとして付着したものです。
この汚れで外壁自体の耐久性に影響することはありませんが、なかなか落とすことができません。
ひび割れが起こると防水性能が低下する
モルタルの外壁はひび割れを起こしやすいのですが、ひび割れが起こるとその隙間に水の侵入経路を作ってしまい、防水性能の低下を招いてしまいます。
ひびが入りやすい
つなぎ目がないため、地震などの揺れや、また経年劣化、乾燥などが原因でひび割れを起こしてしまいます。
モルタルの外壁であればひび割れは必ず起こると思っていたほうがよいです。
小さなひび割れを「ヘアークラック」、大きなひび割れを「構造クラック」といいます。
構造クラックの場合、水の侵入により内部の腐食などが起こってきます。
ただし、ヘアークラックは定期的にメンテナンスしておけば問題ありませんので、必ず定期的に、補修や塗装を行いましょう。
工事内容が複雑なため、価格が高い
モルタルを外壁に選ぶと、工事内容が複雑になります。
まず一番内側に透湿防音シートを張り、その上に下地盤を張り、防水紙をかぶせます。
そこにラス金属板という金属の網を張り、そこにモルタルを塗っていくという工程になります。
『モルタル外壁の仕上げ方法について』で説明しますが最終の仕上げ方は様々な種類があります。
モルタルの工事内容は複雑なために、現在主流であるサイディング素材と比較すると価格がどうしても高くなってしまいます。
モルタル材の価格
ではその価格を詳しく説明していきます。
モルタル材と一言で言っても様々あり、塗装のグレードによって差が出てきます。
費用 | 耐用年数 | |
アクリル | 4500円/坪~ | 約5~7年 |
ウレタン | 6500円/坪~ | 約8~10年 |
シリコン | 7500円/坪~ | 約10~12年 |
フッ素 | 9000円/坪~ | 約15~20年 |
初期費用がかさんでも、その後の耐久年数を見れば、結果はお得かもしれません。
長期的に見た際のメンテナンス費用も加味した上で、よく検討してグレードを決めてください。
モルタル外壁の仕上げ方法の種類
モルタル外壁は職人が手作業で仕上げていきますが、仕上げ方法には4種類があります。
リシン仕上げ、スタッコ仕上げ、吹付タイル仕上げ、左官仕上げの4種類。
ここではそれぞれの特徴などを説明していきます。
リシン仕上げ
リシン仕上げとは、砕いた石に、樹脂や、セメントまたはアクリルなどを混ぜ合わせたものを、モルタルの上から吹き付けていく仕上げ方法です。
外壁の表面に粒がつくため、触るとざらざらしています。
コストが経済的であり作業がしやすいので、1970年~1980年代までは主流となっていました。
ただ、外壁にひび割れが生じやすいので注意が必要です。
スタッコ仕上げ
スタッコ仕上げも、さわるとざらざらしていますがリシン仕上げよりも大きな凹凸があります。
砂や石にセメントを混ぜたものなどをモルタルの上から吹き付け、乾かないうちにローラーで押さえてその凹凸を作り上げます。
リシン仕上げよりも厚みがあり高級感や重厚感があり、耐久性も高いです。
凹凸が大きい分、一度汚れが付くと落ちにくいのが欠点です。
吹付タイル仕上げ
吹付タイル仕上げとは、樹脂に砂や石などを混ぜたものを、口径の大きいスタンガンで吹き付け、乾かないうちにローラーをかけます。
仕上げの塗料を塗り、出来上がりはつるつるした手触りになります。
塗替え時は、塗料の吸い込みがないので、リシンやスタッコに比べて非常に塗りやすいです。
左官仕上げ
コテやハケなどで模様をつけて仕上げる方法で、職人の巧みな技術が必要になりますが、ハンドメイド感が出てとても味のある外壁に仕上がります。
最近ではアイカ工業の「ジョリパット」、エスケー化研の「ベルアート」といった材料が登場し、おしゃれな外壁にできると、注目を浴びています。
色別のモルタルを使用した外壁デザイン事例
モルタルの外壁にしよう!と決意した後は、色選びが待っています。
外壁の種類を選んだはいいものの、色選びでも迷ってしまいますよね。
ここでは黒と白の家をご紹介しますので参考にしてみてください。
黒色モルタル外壁のデザイン例
黒い外壁は、実は熱を吸収しやすい色でもあり実際に白い壁に比べて10度以上高くなるとも言われています。
しかし断熱材を導入するなどとしっかりと対応していれば、外壁の温度に伴って室内も暑くなるということは防げます。
黒の外壁はモダンな雰囲気を作り出してくれます。
モルタルには汚れが付きやすいという点がありますが、黒なら目立ちにくいですね。
黒い外壁×木の組み合わせも無垢な演出でオシャレだと人気です。
白色モルタル外壁のデザイン例
白い外壁はスタイリッシュで清潔感のある雰囲気を生み出します。
家の中はどうなっているのだろうと、外見では生活感が見えづらく、魅力的ですね。
白い外壁はどうしても汚れが目立ってしまうので、放っておかないことがポイントです。
また、仕上げ方法を選ぶ際も、汚れが付きやすいスタッコ仕上げを避けるなどで対応しましょう。
モルタルの補修が必要な症状とメンテナンス費用について
モルタルの外壁の補修について説明していきます。
どのタイミングで補修をしていけばいいのか、またその際、メンテナンス費用はどのくらいかかるのか、初めに知っておき、その都度適切な対応をしましょう。
モルタルを使用した外壁の補修が必要な症状
モルタルの外壁に、下記3つの症状が出てきたら、補修を行うようにしてください。
モルタル自体の耐久性はとても高いので、その特性を生かし、定期的にチェックすることをおすすめします。
クラック(ひび割れ)
デメリットでも説明した通り、モルタル外壁にひび割れは避けては通れません。
ヘアークラックでは自分でモルタルを塗って補修も可能ですが、構造クラックが起こってしまった場合には雨水の侵入経路にしてしまうので、早めの補修が必要になります。
色落ち・チョーキング
チョーキングとは触ったときに手に白い粉がつく現象のことを言います。
この色落ちやチョーキングは、紫外線や雨、風などの影響で起こる劣化現象なので経過とともに、どうしても起こってしまいます。
このような劣化症状が起こると防水性が弱くなってくるため雨水を侵入させる恐れがありますので、この症状が見られたら補修が必要となります。
汚れ
モルタルの壁は凹凸していて、この凹凸に汚れが入り込んでしまうと取れなくなりひどくなると汚れが目立ってきてしまいます。
またカビやコケなどが根をはることも考えられますが、いつも外にさらされているので、経過とともに仕方ない点ともいえるでしょう。
ひどくなってしまった場合は業者に高圧洗浄を依頼するか、塗り替えを検討しましょう。
モルタル外壁の補修にかかる費用
上記のような症状が起こった際に補修をするにあたり、補修費用も気になりますよね。
ヘアークラック
500円~2,000円(1㎡あたり)が相場です。
軽いひび割れですので、自分で補修が可能です。
構造クラック
4,000円~6,000円(1㎡あたり)が相場です。
自分では補修できませんので、業者に依頼しましょう。
モルタル外壁の耐久年数
モルタルの外壁にした場合、どのくらいの耐久年数になるのでしょうか?
頻繁にメンテナンスをしていればその分費用もかかりますので、耐久年数が長いほうがうれしいですよね。
一般的にモルタルの外壁は30年の耐久年数があると言われています。
あくまでも平均値ですが、現在主流のサイディング素材と比べても3倍ほどの年数になります。
これは作業をした職人の腕にもよると言われていますが30年もの間メンテナンスが必要ないのは、根強い人気の理由の一つといえますね。
まとめ
モルタルの特徴や仕上げ方法などについてまとめて説明しましたがモルタルの魅力は伝わったでしょうか。
職人の手によって施されるのでこだわりのある方には向いていると思います。
メリットデメリットをしっかり把握して、素敵な我が家の外壁選びの参考になると幸いです。
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